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禅のもつ緊張感と和み



北鎌倉の駅から目と鼻の先に円覚寺があります。
三門をくぐり抜けると、とたんに世間の喧騒から離れ
静まりかえった異次元空間がそこにあります。
ピーンと張り詰めて、それでいて不思議と心が和む・・・、
それは禅寺特有の世界観が表れているのではないでしょうか。

数年前「禅」について調べている中でこんな文章を発見しました。

   何ものにもとらわれず、縛られず、執着せず、
   たった今、ここにいる自分だけが真実・・・。

私は絵を描くことを通して、紆余曲折を経ながら模索してきたことを
あまりにも的確に言いえていることに大きな衝撃をうけました。
絵を描くことは完全な個人作業で、
自らを鏡として見つめ、
自らの判断以外に頼るものがなく、
自らに正直になるしか感動する絵を描ける術がないからです。

私はこれまでもこれからも宗教とは無縁ですが、
禅の道を歩む修行僧と、同じ道を歩んでいるのかもしれません。

※三門を通しての仏殿方向の風景ですが、その描き方を次ページで学習しましょう。

右の看板の「居士」とは在家修行者のことで、どなたも参加できる座禅会が開かれています。

観光客の人気スポットですが、
とりわけ年配者が多いようです。


何も描かないことの描き方


絵では何も描かない、空白を残して画用紙の白をむき出しにすることも大切な表現テクニックのひとつで、平凡な絵が見違えるほど魅力的になることがあります。以降の当出版の事例作品に数多く登場しますから、ご参考にしてください。
そのポイントは、
@その最大の効果は、空白をつくることで絵にメリハリが生まれ、主役となる訴求ポイントが強調されるます。
A同時に絵が爽やかで軽くなる効果もあります。

淡彩スケッチでは、描きたくない部分、描いても意味のない部分は、積極的に描かない、いわば手抜きすることをお勧めします。


絵のとなる写真です。
このまま正直に描けば、絵が重々しくなります。

そのような描き方もありますが、私はこの絵は出来るだけ軽く爽やかに仕上げようと思います。
重い部分を軽くするには、描かないことで空白をつくることが必要です。
白い紙でその場所を探します。
右上を空白にすることにしましたがその場所がトレース時にわかるように、マーカーで印をつけます。
三門部分の線画が出来ました。
空白部分との境が不自然でないように意識して描きました。
三門を通して見える風景は極力弱い線画と淡い彩色で、三門の重量間との比較を強調しました。
空白をつくっても決して不自然ではないと思いませんか?
逆にこの絵をベッタリ塗りつぶしたとすれば、絵が重くなるだけでなく、魅力も半減したと思います。

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