秘伝.6

最初にモノクロで描けば
彩色の失敗を確実に軽減できる


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彩色の行程での第一色を明暗(モノクロ)で描くことで、次の行程のカラー彩色が簡単になるばかりでなく、彩色の失敗のリスクが確実に軽減されます。

水彩画の彩色は、塗ってしまってから「しまった!」と言っても後戻りできない、つまり修正できない画法ですから、そのためにたえず絵の全体像を把握しながら、用心深く描き進めなければならない画法なのです。
元来「色」とは @色相(色の種類) A彩度(色の濁り具合) B明度(明るさ暗さ) の3つの要素からなり、それらをたえず考慮しながら塗らなければならないために失敗のリスクも高いのですが、最初の第一色を@色相A彩度を無視して、B明暗(モノクロ)だけで描くことはシンプルな分だけ、集中して描くことができます。


作品4-1





















この絵を彩色時間で分析すれば、最初のモノクロはていねいに何度も塗り重ねて描いたため約60分を費やし、
カラーでの彩色はモノクロの上にサッと大雑把に塗るだけなので、20分程度で塗り終えました。
それだけ最初にしっかりモノクロで描けば、後のカラー彩色が大幅にラクになるのです。


線画を描き終えた段階ですが、影の暗い部分もこの段階では輪郭内は白いため、何を描いているのかわかりにくく、絵のイメージを掴みつらいのです。






しかしモノクロで描けば、一挙に絵の出来上がりが見えてきます。
彩色は全体のバランスを吟味しながら、何度も何度も塗り重ねて、納得のいくまで描き加えるのが、モノクロで描くためのコツなのです。

露出オーバーなモノクロ写真のように、ハイライト(白地部分)を多くして描くのがポイントです。



ここでの彩色は「漫画家用の墨汁」で描くことをお勧めします。
通常の「絵の具の黒」は、黒い上にカラー水彩を塗ると、絵の具の黒がにじんでしまい、絵が台無しになることがあります。
その点「漫画家用の墨汁」ば、塗った上にどんなに乱暴に彩色しても、決して黒い色がにじまないからです。























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