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「トレース水彩画」秘伝その13 塗りすぎない |
水彩画の魅力は、なんと言っても軽さや鮮度を感じさせる色彩にあります。 そんな表現のひとつとして、絵の主役となる部分はしっかり描き、背景などその他の部分は徐々に確認しながらぬり進め、ある段階で終了とする描き方です。 どこでストップするか見きわめる 水彩画は、ぬり重ねていくことは出来ますが、「ぬり過ぎた!」といって後戻りできないのが特徴です。つまり、どこでぬるのをストップするかの判断がとても難しいのです。初心者はついぬりすぎてしまいますが、ストップのタイミングを決めるには勇気が必要です。 そのタイミングを計るには、絵の主役となる部分を先に描き、それ以外は確認しながらぬり進めることです。 |
テーマを決める この写真の魅力は、朝日を浴びながら漁を終えて船が帰ってきた、その爽やかさにあると感じました。 それには漁夫と船を主役とし、背景は最低限しか描かないほうがいいようです。 |
線画の完成 後のサーフィンを楽しんでいる若者は、この絵の主旨からすれば必要としないので、この時点で省略しました。 |
彩色その1 主役をぬる 主役となる船と漁夫の彩色はしっかり描きましたが、背景はまだ手をつけていません。 |
彩色その2 近景をぬる 手前にある波を描きました。だいぶ雰囲気が出てきましたが、もう少し描きたして、もっと雰囲気を出す必要がありそうです。朝日に反射してキラキラ輝いている様もまだまだ表現不足のようです。 |
彩色その3 遠景をぬる 遠景の波を淡くサッと描くと、絵に広がりが生まれ、朝のさわやかな雰囲気が表現されました。 もうそろそろ絵の完成が近づいてきました。 |
彩色その4 細部をぬって完成 波の細部などの細かい部分にちょっと手を入れてみました。私はここでぬるのをやめ、絵の完成としました。 もっと主役の周辺をぬり進めることも出来ますが、絵に軽さや鮮度がなくなり、ベッタリとしたごく普通の絵になってしまう恐れがあると判断しました。 |
ポイント 水彩画の魅力を料理にたとえると、日本料理、それも刺身や寿司などの生モノを扱う料理に似ています。 鮮度や生きのよさが身上だからです。 水彩画での白の表現は何もぬらないことですが、その「白」が余韻やイメージの広がりを表現するようになると、俄然と絵に魅力が生まれてきます。 |