しっかり描く15. 濁った色を上手に使う

色見本帖をめくってみると、絵の具そのままの鮮やかな原色はほんの一部で、
大部分はいろいろな色合いの濁った色(濁色)からなっています。

色彩感覚の高い人ほど、より多くの色を使いわけるわけですから、濁った色の使い方が上手なのです。
濁った色を上手に使えば、絵に深みが増し上品な絵になりますが、原色だけで描いた絵は下品で薄っぺらな出来となることがなによりもそれを証明しています。

今回の課題は、濁っている上に全体が単調な色合いとなっているため、上級者には結構手ごわい課題ですが、初心者の方はすんなり描きあげることができる、案外やさしい課題かもしれません。

クリックすれば絵を描くための原寸写真が出ます。
これを素にあなたも絵に挑戦しませんか。


この風景は夕闇迫る富士川の風景です。
春一番に鮮やかな柳の緑が美しいですね。

色彩も単調ですが、明暗も単調な絵は
最初の第一色のモノクロで描く行程がとても大切です。
慎重に暗い部分を描き進みます。

第一色でのモノクロで描く行程は完了しました。

この絵のポイントである柳の新緑の色を塗ります。

濁った紫色で全体を塗り終えて、最後に柳の緑にも同じ濁った紫色色を重ね塗りして、全体のバランスとの微妙な強さを調整します。


夕闇を描くとすれば夕焼けの赤を絵に入れるのが常識ですが、
そんな色を一切使わずに濁った紫色だけで、暮れ行く雰囲気を表現しました。

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