彩色偏.5 塗り重ねる順番が成功の決め手

最もよくない彩色は、部分から仕上げていく塗り方です。全体の出来上がりのイメージが掴みにくいことが失敗の原因となる場合が多いのです。
その逆で、最も失敗しない彩色方法は、
絵を塗るどの段階でも、それなりに絵になっている塗り方です
それにより早い段階から完成された絵がイメージ出来るため、バランスをとりながら塗り進め完成に近づいていくことが容易となるのです。

塗り順を守り、それぞれの段階での役割を認識しながら描き進めることです。


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今回のテーマはブロッコリーです

順番@ 明暗で塗る

最初の一色は、モノクロの絵を描くように塗ります。
基本は黒色で描きますが、今回の絵は絵の完成をイメージして紺色としました。

この項目では塗った色をチップにして提示しました。(上のチップの色)参考にしてください。

順番A 淡い素地の色を塗る

素地の色とはモチーフの持つ地色のことです。
最初は水でうすめた淡い色で塗ります。

順番B やや強い素地の色を振る

色に“コク”を出す行程です。
写真をよく観察して、色鮮やかな部分、強い色の部分に、順番Aより水を少なくしたやや強い色を塗り重ねます。

順番C 影を塗る

最後に影を塗りますが、影は決して黒や灰色などの無彩色ではありません。
今回は濃い緑を影の色にしました。


順番D 白で修正する

最後に白色ではみ出した部分やハイライトを修正しますが、この絵では修正箇所がなく、絵が完成しました。

透明水彩絵の具の「透明」とは、色を塗り重ねても下の色が消えず、透けて見える特色を表現した言葉です。たとえば青の上に黄色を塗れば、重なった部分は黄色ではなく、青+黄=緑 となるのです。
その特色を生かして臆せずどんどん塗り重ねましょう。

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