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事前にしっかりプランニングをし、出来上がりのイメージを固めます。 



絵の成功と失敗は、絵を描く前のプランニングをしっかり行うか否かによって大きく左右されます。
もっといえば、順調に上達する人と、足踏みを強いられる人の差は、絵を描く前のプランニング力の差といっても過言ではありません。

それでは何をプランニングするのでしょう。

まず、どうして絵の素となる写真として、1枚の写真を選んだのでしょう。
まだ写真選びに苦慮している方は、どのような基準で1枚の写真を選んだらいいのでしょう。
それはなんといっても「こんな絵を描きたい!」と思う気持ちの強さの1枚を選ぶべきなのです。
絵は感動を表現するメデイアですから、気持の強さの中に感動がインプットされているからです。

そしてその写真を選んだ理由を、より鮮明にする必要があります。
その写真には、美しいとか、懐かしいとか、かわいいとか、心の琴線に触れるものがあったから選んだのであり、その理由こそが、これから描く絵のテーマとなるのです。

次に、そのテーマをもとに、完成された絵をイメージします。
目の前に絵の素となる写真があるわけですから、詳細に至るまで完成された絵を頭の中に描き、この部分を強調し、この部分はむしろ弱くし、思い切ってここは描かない、と、完成イメージをより鮮明にし、そして初めて画用紙に向かうことにした方がいいでしょう。


具体的な方法として、私は映画監督になったつもりで、写真の中から、絵の中心となり魅力となる主役、主役を補佐し援護する脇役、その舞台の環境づくりをするエキストラの配役を決めることにしています。

                                

下の絵は湘南・葉山のレストランのある風景ですが、その配役は以下の通りにしました。

        主役     白いレストラン
        脇役     手前のボート
        エキストラ  街と海、そして空

この写真の問題点は、手前のボートの存在感が強いのですが、その部分の存在感を弱めることで、後ろの白いレストランを際立たせるこしにあります。

 
 
1′44″  線画とモノクロの行程が終わり、これから彩色を始めます。 
 2′31″ 絵をよりドラマチックにするため、空はグラデーションのテクニックで 夕方の空にすることにしました。
2′45″  空を濃くするのは、レストランの白い壁を強調する効果もあります。 
3′08″  同様に周りの建物も濃くします。 
3′30″  そして影もしっかり塗っていきます。 
 3′38″ ボートはナンバーが面白いのでしつかり塗りますが、後は最小限の彩色にとどめ、
砂は彩色しないことにしました。 
   
   
   
   
   
   
   



  
 
 
   
そして完成したのがこの絵です。
主役・脇役・エキストラがそれぞれの立場を踏まえて、自分の仕事をしました。 

 
 
 
以下の絵の中から、主役・脇役、そしてエキストラは何か?を、意識しながらご覧ください。



  私はこの絵の主役を、手前の木でも背景の山でもなく、木陰だと思いながら描きました。


その日は炎天下の暑さ、のどがカラカラで木陰に入ると、さわやかな風が吹き、実に極楽気分を味わったからです。 
   
   主役は当然おじいさんですが、脇役は葉の落ちた木の枝であり、脇役により冬の日の陽溜まりの暖かさを表現しようとしました。
   
  曲がりくねった山道をドライブして中、
茅葺屋根の農家と出会いました。

この絵の主役は農家の佇まい、
そして脇役は手前の柿木
エキストラは背景の森のイメージで描きました。
   
  この絵の主役は、人知れずとうとうと流れ落ちる滝です。
その主役を引き立たせ、水の流れを
導線として導くために、
手前を省略しました。