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風景画は、何を主役にするかを決めることから始まります 


風景画の特色は、一枚の絵の中に「近景」「中景」「遠景」が同居していることにあります。
その風景画を描くポイントは、その中のどこに焦点を当て、何を主役にするかを明確化するすることあります。
それにより見慣れた風景画がドラマチックな風景に変貌し、魅力的な風景画になっていのです。

そして主役を中心として、ちょっとオーバーなくらい遠近感を強調するほうが、魅力的な風景画に変貌します。

色彩で遠近感を表現するには、近景ほど鮮やかな色で、距離が長くなるほど色が薄れ、濁り、もっと距離がのびれば、青系統の色あいが強くしていきます。
コントラストも近距離ほど強く、遠くなるにしたがって、フラットに描いていきます。
 
 
   
0′17″  素になる写真は、千葉県の大山の千枚田です。 
0′24″  この絵の主役は中央にある藁の山で、主役ですから強い筆圧で描きます。
これを田舎では「わらんにょ」と言っていました。 
0′30″  それとは逆に、背景は極力弱い筆圧で描いていきます。 
0′36″  線画が完成しました。 
0′46″  モノクロでの行程も終了しました。わらんにょの影の部分は相当暗くなりました。 
1′00″  遠景から描き進めるため、まずは空から描き始めます。
最初に水を塗り、その上から青色を落とすと、自然に色が広がり、空を表現できます。 
1′13″  遠くの山ほど濁りのない淡い青を塗ります。 
 1′19″ 中景の山は青く濁った緑の色となり、 
1′51″  徐々に緑を増していき 
 3′16″ 畦道になると緑を増素と同時に、明るくしていきます。 
 3′23″ すぐ近くの叢は、原色に近い緑をドバッと落とすように厚く塗ります。 
4′00″  わらんにょは明るいのですが、背景の緑とは反対色なので、強い存在感となります。 
   
   
 
   遠い山から手前のわらんにょまでの遠近感を強調して描いたため
すがすがしい空気感が表現できたと思います。
 
 
 

 
私は風景画を描くのが大好きです。
たくさんの風景画をご紹介しますが、どこに焦点を当てているかを意識してご覧いただければ幸いです。 
 

   赤い緋毛氈が美しく絵にしたのですが、平たい絵になってしまい、失敗作として捨てる前にダメ元で実験をしてみました。
画用紙を水で洗い、左側をタワシでゴシゴシこすったら、不思議な魅力を持つ絵になりました。
   
   鎌倉文学館の絵を描くことになったのですが、ほとんどの方は文学館の古い建造物を描くのですが、元来天邪鬼の私は、その人たちを描くことにしました。

ユニークさやオリジナリティが絵のもっとも大切なこと、自分らしい風景を探しましょう。
   
   深い雪国も春の訪れがまじかに迫り、明るい日の光が当たる一瞬を描きました。
   
  農家の軒先に忘れかけられた古い自転車が置かれてありました。
錆だらけの自転車になんとなく愛着を感じ、絵にしました。
   
   
   都会の風景を描こうと何回もチャレンジしたのですが落第点ばかりで、何とか合格点をとれたのが御茶ノ水の駅舎のこの風景画でした。

都会の風景画が難しいのは、都会への憧れが弱いせいかもしれません。
   
 
   
  力強い絵が描けたのですが、その原因は主役のタグホートではなく、背景の雲や煙の表現にあるようです。

脇役の表現が主役を生かすことになりました。