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正確な色を作る、それは試し塗りにあります。 


プリンターのインク交換をしたことがあると思いますが、インクは 黄・赤・青の3色(3原色という)と、黒の合計4色からなっており、その4色ですべての色を再現しています。
その中でも黒いインクは補完的役割で、ほとんどの彩色は 黄・赤・青の3原色の混合具合によって作られているのです。

それでは水彩絵具は、なぜ4色ではなく、12色や24色などのセットになっているのでしょうか?
その理由はいちいち混色して色を作るのが大変なため、よく使用する分野の中間色を増やしてあるのです。
しかし現実の世の中は無限の色が溢れており、24色ではとても足りないため、パレットの上で混色して望みの色を作ることが上達への大前提となるのです。
そのため必ず試し塗りの画用紙を用意し、作っては塗りを繰り返しながら、目的の色に描づけていきます。

また透明水彩での彩色では、白色を使ってはいけません。
その対応として水があり、明るくすることや淡くするには、水の注入で調整することになります。
白色の使用は、絵の最終段階でのはみ出した部分の最後に修正や、下の絵のように水面の光などのハイライトを表現する時に使用します。

 

 0′14″    この絵の素となる写真です。新緑の緑の美しさが、この絵のポイントですね。
 1′20″    正確な色を作るには、、ピンポイントで目的となる色を決定することが必要です。
 1′24″      色を作る行程をわかりやすくするため、試し塗りの画用紙に穴をあけ、目的の色と作られた色を比較していくことにしました。
 1′27″     最初は絵具の中で最も近い色をパレットに取り出します。
 1′45″      それにしても色が鮮やか過ぎて、目的の色とずいぶん違いますね。
 1′53″       黄色系の色を混色します。
 2′00″ 
 
  ずいぶん近づいてきましたが、もっと濁った色にする必要があります。
色は混色すればするほど、濁った色になっていきます。
 2′11″       濁った色にするため茶系などの相反する色を少量まぜることにしました。
 2′20″       ほぼ近い色になりましたが、ちょっと濃すぎるかもしれません。
 2′34″       こご重要なのは水の調合で、たっぷりの水で溶いて厚く塗る、その厚みで調整することにしました。
 2′45″      目的の色が完成しました。
 2′58″     そしてその色を彩色していきますが、いい雰囲気になっていくと思いませんか。

 
 
 
 

この風景は静岡県三島市の柿田川を描いたものです。
富士山の湧き水が突然湧きだし川となる、その水の透明感がすごいのです。


 
 色彩を意識した作品をご紹介します。
   
   
   奈良・東大寺近くの風景ですが、この絵の主役は古い壁。
年代を感じさせる古さ、それでいて気品ある美しさを出すことに苦労しました。
   
  早朝の材木座海岸は、波打ち際の濡れた部分に朝日が輝いていました。
この絵では浜辺に広がる青いグラデーションの反射が美しく、出来るだけ正確な色を出すことによにして描きました。